前章「文字組みアキ量設定」の冒頭でも説明したように、InDesignには14種類の文字組みアキ量セットが用意されています。新しい文字組みアキ量設定を作る場合は、そのどれかをベースにして作成します。ここでは[行末受け約物全角/半角]をベースに作成してみます。
▶注意事項
これから説明する文字組みアキ量設定は、いままで使っていたBOOKHOUSE独自の[文字組みアキ量設定]をもとに新しく作成したもので、それほど多くの組版に使用している設定ではありません。また、わたしたちは、ほとんどの本文組にリュウミンR-KLを使用しているので、ほかの書体では試していません。そういう意味では、まだまだ改良の余地、大きなミスがある可能性があります。
ですので、この文字組みアキ量を使用なさる場合は、十分に検証してからお使いください。わたしたちは小さな会社ですので、万一不都合がでた場合、その責任がとれません。くれぐれも十分に検証してからお使いくださるよう重ねてお願いいたします。
●基本設定……新規作成[1]
まず、メニューバー[書式→文字組みアキ量設定→基本設定]をクリックして、ベースにする文字組み[行末受け約物全角/半角]を選択します。 単位は、[%]と[分]が選択できますが、より細かく設定したいのでデフォルトの[%]のままで作業します。
つぎに上の図の右側にある[新規]をクリックします。すると、左の図のように[新規文字組みセット]というダイアログが表示されます。
その[名前]のスペースに「新しい文字組みセット名」を入力します。ここでは「本文組」と入力しました。この「文字組みセット名」は、あとから変更することができます。
ここで簡単に文字アキ量の数値の意味を説明します。たとえば一番上の「50%(0%〜50%)」という数値は、始めの括弧類の最適アキ量が50%、最小アキ量が0%、最大アキ量が50%ということを意味しています。つまり、字間の調整が必要ない場合は「最適アキ量50%」で組まれるけれど、半角約物や和欧混植などで字間の調整が必要な場合は、始めの括弧類のアキを「最小アキ量0%」から「最大アキ量50%」のあいだで調整し、行長を揃えるということです。
●基本設定……新規作成[2]
上の図の[新規文字組みセット]ダイアログに新しい名前を入力して[OK]をクリックすると、下の図のように新規の[文字組みアキ量設定]の入力画面が表示されます。アキ量の数値の横(下の図の赤枠内)にある小さな三角形をクリックするとプルダウンメニューが表示されるので、おおまかなアキ量を選択して変更します。赤字になっているところがアキ量を変更したところです。上の図[行末受け約物全角/半角]とくらべてみてください。「50%(0%〜50%)」が「50%固定」などになっています。
なお、このアキ量は暫定的なもので、次章で説明する[詳細設定]で変更した数値が[基本設定]にも反映されます。
BOOKHOUSEではほとんど使用していませんが、アキ量設定で[段落字下げ]をする場合は、上の図の[段落字下げ]で設定します。くわしくは「文字組の基本→文字組アキ量で設定する方法」を参照してください。
●文字組みアキ量設定の削除/名前を変更/読み込み
新規に作成した文字組みアキ量設定を削除する場合は、作成した文字組みアキ量設定を表示させてから、下の図の赤枠内にある[削除]をクリックしてください(デフォルトの文字組みアキ量設定は変更したり削除したりすることはできません)。失敗しても削除すればいいだけですから、安心して何度でも挑戦してみてください。
新規に作成した文字組みアキ量設定の名前も、下の図の赤枠内にある[名前を変更...]をクリックすると変更することができます。また、ほかのドキュメントで作成した文字組みアキ量設定も、下の図の赤枠内にある[読み込み...]をクリックすることで読み込むことができます。現在のドキュメントと同じ名前の文字組みセットが読み込み先にある場合は、「文字組み"◯◯"は既に存在します。上書きしますか?」という確認のメッセージが表示されます。
●基本設定だけだと変な組みになることがあります
下の図に示した[基本設定]は、すべてを[0%固定]、つまり「ベタ組」にした例です。
上記の設定のまま、[詳細設定]を変更せずに組んでみると、下の図のようになります。すべて「ベタ組」にしたはずなのに、赤いレ点のところが「50%(半角)アキ」になっています。 なぜこうなるかというと、上記の設定のまま[詳細設定]をみるとわかるのですが、括弧類と分離禁止文字や前置後置省略文字、行頭禁則和字や半角数字などが「ベタ組」になっていないためです。
【注意】縦組みで2連数字に縦中横を適用した場合、半角数字は 0%アキ(ベタ組)になります。
それでは上記の[0%固定]を[50%固定]にしてみましょう。
下の図をみてください。やはり赤いレ点のところが変なアキになっています。①と③の約物は正しく「50%固定」になっていますが、「追い出し」になっている②や、「追い込み」になっている④の赤いレ点のところは「50%固定」ではありません。これも[詳細設定]をみるとわかるのですが、括弧類と半角数字や、句読点と分離禁止文字などのアキが[50%固定]になっていないためです。
ですので、新しく[文字組みアキ量設定]を作成したときは[詳細設定」をチェックする必要があります。
【注意】一般的な書籍の場合は、行長がもっと長いために調整箇所が分散され、下記の例ほど目立つことはありません。