[新規ドキュメント]の作成方法と、[段落スタイル]や[文字スタイル]などの基本的な設定方法を説明します。いよいよ実際の組版作業です。文字組には、デザイン的な能力以外に、論理的な思考が必要です。「片ページノンブルの設定」などをみるとわかるのですが、論理的な整合性が大切なのです。初心者の方は、多少むずかしく感じるかもしれませんが、小中学生程度の算数ができれば大丈夫。
とにかく楽しんでください。
まずは新規ドキュメントの作成方法から説明します。
新規ドキュメントを作成するには、メニューバーの[ファイル→新規→ドキュメント]をクリックするか、ショートカット【command ⌘+n】を押します。すると「新規ドキュメント」ダイアログが表示されます。
下の図の「新規ドキュメント」に設定されている
「ページサイズ」や「裁ち落としと印刷可能領域」
は、アプリケーションデフォルトとして登録したものです。
いちばん上の「ドキュメントプロファイル」の右横にある小さな三角形をクリックすると[プリント][web][デジタルパブリッシング]が選択できます。ここでは[プリント]だけを説明しますが、参考までに[web]や[デジタルパブリッシング]のダイアログも掲載しておきます。それぞれのダイアログの下にあるのが選択できるページサイズです。
それでは[新規ドキュメント]の各項目をみていきましょう。
① | ページ数 | 新規ドキュメントに作成するページ数を指定します。ここに「10」と入力すると、新規ドキュメントを作成すると同時に、空のページが10ページ作成されます。通常はデフォルトの「1」のままにしておきます。 |
② | 開始ページ番号 | ノンブルを開始する値を指定します。通常は「1」ですが、たとえばノンブルを「2」から始めたい場合、下記【3】の[見開きページ]にチェックを入れて、「2」に設定します。 |
③ | 見開きページ | 書籍などのように左右ページを見開きで表示する場合、このオプションにチェックを入れます。InDesignでは、見開き2ページのことを「スプレッド」 といいます。1ページ(片ページ)ずつ表示する場合は、このオプションのチェックを解除します。 |
④ |
プライマリ テキストフレーム |
このオプションにチェックを入れると、マスターページとドキュメントページにテキストフレームが作成されます。便利な機能ですが、ちょっと厄介な点もあります。新規ドキュメントを設定した段階で、ページにテキストフレームができてしまうので、レイアウト変更が少々面倒なのです。くわしくは文字組の基本の「プライマリーテキストフレームの注意点」を参照してください。 [プライマリテキストフレーム]へのテキスト流し込みについては「テキスト配置」を参照してください、 |
⑤ | ページサイズ |
ページサイズとは、裁ち落としなどを断裁したあとの最終的な仕上がり寸法です。一般に出版や印刷の業界では「判型」といいます。ページサイズの右横にある小さな三角形をクリックしてポップアップメニューからサイズを選択するか、[幅]と[高さ]に数値を入力します。 数値入力したサイズが規格以外のときは、上の図⑤に「カスタム」と表示されます。規格サイズの場合、たとえば「128×188mm」と入力した場合は、 「四六判」と表示されます。 アプリケーションデフォルトにページサイズを登録する方法や、ポップアップメニューにページサイズを追加する方法は「ページサイズの設定」をご覧ください。 |
⑥ | 方向 |
縦(縦長)または横(横長)を選択します。この設定は[ページサイズ]に入力した寸法と連動しています。[高さ]の値のほうが大きい場合は「縦置きアイコン」が自動的に選択されます。[幅]の値のほうが大きい場合は「横置きアイコン」が選択されます。 「方向アイコン」をクリックすると、設定されている[高さ]と[幅]の値が入れ替わります。たとえば、幅「210mm」、高さ「297mm」と入力すると自動的に「縦置きアイコン」が選択されますが、そのまま「横置きアイコン」をクリックすると、幅が「297mm」、高さが「210mm」に、自動的に変わります。 |
⑦ | 綴じ方 |
一般的には、テキストが縦書きならば「右綴じ(「本」と書かれているアイコン)」を、横書きならば「左綴じ(「A」と書かれているアイコン)」を選択します。 本の右側が綴じられているものを「右綴じ=右開き」、左側が綴じられているものを「左綴じ=左開き」といいます。 |
⑧ | 裁ち落とし | 基本的なことから説明します。 仕上がり寸法(内トンボ=断裁位置)のぎりぎりにあわせて写真などを配置すると、ページの端に白がでてしまうことがあります。そのため、ページの端に写真や図版を配置するときは、実際の仕上がりサイズよりもトンボの側を伸ばして外トンボにあわせて配置し、印刷したあとに、余分な部分を断裁します。この断裁する部分を「裁ち落とし」 といいます。裁ち落とし幅は通常3mmです。 |
⑨ | 印刷可能領域 |
印刷可能領域は、折りトンボやカラーバーを配置したり、著者や編集者に伝える情報を記したりする領域です。内トンボからの寸法を入力します。印刷可能領域は、校正などで印刷可能領域を含めてプリントアウトするときを除き、実際の印刷時には印刷されません。くわしくは「パネルの説明→ワークスペースの名称と構成」をご覧ください。 BOOKHOUSEでは「20mm」に設定しています。 |
以上の設定をしたら、ドキュメント作成方法の[レイアウトグリッド]、または[マージン・段落]をクリックします。
▶ドキュメント作成方法[レイアウトグリッド]
テキストがメインの一般的な書籍の場合、新規ドキュメントは[レイアウトグリッド]をクリックして作成します。
[レイアウトグリッド]をクリックすると、下の図のような[新規レイアウトグリッド]ダイアログが表示されます。ここに表示されている設定は[アプリケーションデフォルト]として登録した設定です。変更する必要がある場合は修正して、[OK]をクリックします。すると、下の図のようなページが作成されます。
作成されたページの薄緑色のガイドは「レイアウトグリッド」といわれます。テキストは、このレイアウトグリッドにそって配置されるので、普通は「テキストはレイアウトグリッドの設定に基いて配置される」と思ってしまいます。しかし、テキストはレイアウトグリッドの設定に基いて配置されるのではありません。後述する「フレームグリッド」に基いて配置されます。くわしくは次章「レイアウトグリッド設定」で説明します。
▶ドキュメント作成方法[マージン・段落]
雑誌などのようにテキストや図版を自由に配置するレイアウトの場合は、[マージン・段落]を選択して、新規ドキュメントを作成します。[マージン・段落]をクリックすると、下の図の[マージン・段落]ダイアログが表示されます。マージンや段組を入力して、[OK]をクリックします。その下の図のようなマージンだけが表示されたページが作成されます。ここに自由にフレームを作成して、テキストや図版を配置していきます。