▶ InDesign : NewDocument[文字組の基本]

段落スタイルをアプリケーションデフォルトとして設定する


[段落スタイル]は、フォントやフォントサイズ、禁則処理やグリッド揃えなど、さまざまな書式や設定をリソースとして保存し、組版時に段落全体に適用することで、レイアウトを統一的に作成する機能全体を指します。
次章で説明する[文字スタイル]と似た機能ですが、文字スタイルよりも、より多くの設定項目があります。下記に設定項目の違いを示すため、それぞれのパネルを並べてみました。クリックして大きくしてみてください[段落スタイル]の赤枠内が[文字スタイル]にない設定項目です。

段落スタイルと文字スタイル

段落スタイル [段落スタイルパネル]は、ヘッドメニュー[書式→段落スタイル]で表示しま(左図参照
下の図が[段落スタイルパネル]です。
パネルにある[基本段落]はInDesignに初めから用意されているデフォルトの設定です。

段落スタイルパネル

このデフォルトの[基本段落]は、設定を変更することはできますが、名前を変えたり削除したりすることはできませんBOOKHOUSEでは[基本段落]の設定を変更してアプリケーションデフォルトとして保存しています。

段落スタイルの変更


段落スタイルパネル [基本段落]の設定を変更するときは、まず[段落スタイルパネル]のタブの横にある小さな三角形をクリックして、右の図のようなメニューを表示させます。そのなかの[スタイルの変更]をクリックしてください。下記の「一般]に示したようなダイアログが表示されます。
今回は、アプリケーションデフォルトに設定するのですから、かならずドキュメントが開いていない状態で変更してください。

【補足】 段落スタイルは[段落スタイル名]をダブルクリックしても、設定を変更できます。
ただし段落スタイルを変更するためにダブルクリックするときに段落にカーソルを置いた状態でクリックすると カーソル位置の段落がクリックした[段落スタイル]になってしまいます。
テキストに[段落スタイル]を適用させずに設定を変更する場合は「command ⌘+option+shift」を押しながらスタイル名をダブルクリックします。
一般
段落スタイル・一般

いちばん上にある[スタイル名]は変更できません。
つぎ[基準は、原則的[基本段落自体が基準になるスタイルでから[段落スタイルなし のままにします。
[基準]の下にある[次のスタイル]も変更しません。ちなみに[次のスタイル]とは、あるスタイルの段落を改行すると、改行した段落に[次のスタイル」が適用される機能です。言葉だけではわかりずらいと思うので、下の図をみてください。
段落スタイル[見出し[小見出し[本文を作成しましたそれぞれのスタイルの[次のスタイル]は下の図のように設定してあります。そして「見出し」という文字を入力して改行すると次の行の段落スタイ見出し見出しという文字を入力て改行ると次の行の段落スタイルが[本文]に自動的に適用されます。これが[次のスタイル]の機能です。

次のスタイル

便利なようですけれど、BOOKHOUSEでは、ほとんどこの機能は使ていません。型番・定価・商品説明などを改行で組むチラシなどには便利かもしれませんね。

[スタイル設定]というエリアには設定した段落スタイルの概要が表示されます[基本段落]の場合は、アプリケーションデフォルトで設定したスタイルの概要が表示されます。
その下にある[選択範囲にスタイルを適用]は、現在、カーソルが入っている段落に、作成した[段落スタイルを適用するかどうかを選択する機能ですチェックを入れると[段落スタイルを作成すると同時に、段落スタイルが適用されます。チェックが入っていないと適用されません。
いちばん下にある[プレビュー]にチェックを入れると、その[段落スタイル]を適用している段落が、設定の変更にあわせて変化します。

基本文字形式
段落スタイル・基本文字形式

[フォント[スタイル[サイズ[行送り」などによく使う値を入力します。
サイズ]と行送り]の右横にある上下の三角形をクリックすると、下の図のようなメニューが表示されます。また、左横にある三角形をクリックすると、1Qずつ数値が増減します
カーニング]と字送り]は文字ツメ指定の一種で、上の図のようにデフォルトのままにしておきます1H詰めな「本文均等詰め」場合は一般的に[段落スタイルで設定せずレイアウトグリッド設定」および[フレーグリッド設定」で指定します。
大文字と小文字]や位置]は「スモールキャップス」や「上付き文字」などの設定です。これもデフォルトのままにしておきます。
文字揃え]は「仮想ボディの中央」のままです。くわしくデフォルトの設定→段落パネル→ 行送りの基準位置]を参照してください。

段落スタイル
【補足】 行送り]の単位ですが、どういう訳か、ここは「」になっています。ただしくは「H」なのですが。
詳細文字形式
段落スタイル・詳細文字形式

[水平比率]や[垂直比率]は、文字の変形比率で、写植でいうところの「平体」や「長体」です。 新聞の本文組以外、変形をかけることは少ないので、そのままにしておきます。
段落スタイル [文字ツメ]は、上記[カーニング]や [字送り]と同じように、文字ツメ指定です。初期設の「0%」のままにしておきます。[文字前/文字後のアキ量も「自動のままです。
文字ツメや文字前後のアキ量については 「InDesignの文字ツメの種類を参照してください
つぎの[異体字]は、[フォントの設定 →字形/異体字]でも説明しましたが、 BOOKHOUSEの場合「印刷標準字形」または「JIS78字形」にしています。
ただし、どちらに設定しても、ほとんどの場合、校正段階で赤字がはいってしまいます。くわしくは [フォントの設定→字形/異体字]を参照してください。
[文字の比率を基準に行の高さを調整]および[グリッドの字間を基準に字送りを調整]は、書籍の場合、一般に[フレームグリッド]を使用して作成するので、チェックを入れておきます。くわしくは[デフォルトの設定→文字パネル→文字の比率を基準に行の高さを調整/グリッドの字間を基準に字送りを調整]を参照してください。

インデントとスペース

[インデントとスペース]は初期設定のままです。

タブ
段落スタイル・タブ

タブは本文のフォントサイズを設定ておくと便利です。BOOKHOUSE本文のフォントサイズを13Qにすることが多いので「13Q÷4=3.25mm」に設定しています[位置]に「13Q」と入力すると、自動的にミリ換算して「3.25mm」になります。
ちなみに、タブをスライダーで正確な位置に移動させるのは、ちょっと面倒です。なかなか正確な位置にあわせられないのです。ですので、つぎの方法で設定します。

  ① スライダーの上にある[揃えタブ]を選択します。
  ② そのまま赤枠内の[位置]に正確な数値を入力します。上記の場合は「3.25mm」です。単位をつけて「13Q」や「13/4」と入力しても大丈夫です。自動的に「3.25mm」に換算されます。
  ③ キーボード[enterキーを押すとスライダー[タブ矢印が上記で設定した数値の位置に表示されます。これで設定完了です。
  ④ [タブの位置を変更するときは[タブ矢印を選択して[位置に数値を入力して、キーボ ードの[tab]キーを押します。スライダーの[タブ矢印]が変更した数値の位置に移動します

【column】
タブで文字位置を揃える

段落スタイル [リーダー]や[揃え文字]は、デフォルトでは設定しませんが、たとえば右の図のように「@マーク」で行を揃えたい場合、揃えパターンに[小数(または指定文字揃えタブ(上図赤丸内の矢印を選択し[リーダー]に「半角中黒[揃え文字に「@マーク」を入力します。すると「@マーク」の位置で行が揃います。

段落境界線から斜体まで

[段落境界線]から[斜体]までは初期設定のままです。

日本語文字組版
段落スタイル・タブ

上の図のように設定します。くわしくは下記のリンクをご覧ください。

 禁則処理セット 禁則処理
 調整方式 禁則調整方式
 ぶら下がり方法 ぶら下がり方法
 文字組 新規文字組アキ量設定
 行送りの基準位置 行送りの基準位置
 連数字処理 連数字処理

上記のリンク以外の項目についても[デフォルトの設定→段落パネルの設定]に概要が記されています。参考にしてください。

グリッド設定
段落スタイル・タブ

BOOKHOUSEではグリッド設定[なし行取り[自動に設定しています。[グリッド設定]についてはリンク[デフォルトの設定→グリッド揃え]を参照してください。

タグを書き出し/割注設定

[タグを書き出し]と[割注設定]は初期設定のままです。

以上でデフォルトの段落スタイル[基本段落]の変更は完了です。

新規段落スタイルの作成


段落スタイルパネル・新規作成 新規に[段落スタイル]を作成する方法を説明します。
[段落スタイルパネル]のタブの右横にある小さな三角形をクリックして、右の図のようなメニューを表示させます。その一番上にある[新規段落スタイル]をクリックしてください。以下のダイアログが表示されます。

新規段落スタイル作成

まず[スタイル名(赤枠内を入力します。ここでは「01_本文基本」としました。
つぎの[基準]は、今回はまったく新しく段落スタイルを作成するので[基準]となるスタイルは設定しません[段落スタイルなし]のままにしてください既存のスタイルを基準にする場合は下記「段落スタイルの階層構造」を参照してください。
その下にある[選択範囲にスタイルを適用]は、上記[段落スタイルの変更]でも説明しましたが、カーソルが入っている段落に、作成した[段落スタイル]を適用するかどうかを選択する機能です。チェックを入れると[段落スタイルを作成すると同時に段落全体[段落スタイルが適用されます。
いちばん下にある[プレビュー]は、これも[段落スタイルの変更]で説明しましたが、チェックを入れると[段落スタイル]を適用した段落が、設定の変更にあわせて変化します。
[一般]以下の[基本文字形式]から[割注設定」は、上記「段落スタイルの変更」の設定方法と同じです。

テキスト書式から作成


[新規段落スタイル]は、テキストに設定した書式を呼び込んで作成することもできます。
下の左側の図は段落スタイ「リュウミンPro_R-KL_24Qを適用した文字組です。こ「あいうえおという文字を下の右側の図のよう「小塚ゴシックPr6N-Hに変更してあたらし[段落スタイルを作成してみます。
まず「あいうえお」を「小塚ゴシック」に変更します。変更すると段落スタイル[リュウミンPro_ R-KL_24Q]の横に「+」マークが表示されます。これは選択しているテキストの書式が段落スタイル[リュウミンPro_R-KL_24Q]から変更されたことを示していま(これを「オーバーライド」といいます

新規段落スタイル

新規段落スタイル つぎに[段落スタイルパネル]のタブの右横にある小さな三角形をクリックします。右の図のようなメニューが表示されます。そのメニューの一番上にある[新規段落スタイル] を選択します。
すると下の図のような[新規段落スタイル] というダイアログが表示されます。

段落スタイルの修正

それでは設定を始めます。
まず[スタイル名]に名前を入力してくださいここでは「小塚G_Pr6N_H_24Q」としました。
その下の[基準]が段落スタイル[リュウミンPro_R-KL_24Q]になっています これは今回、段落スタイル[リュウミPro_R-KL_24Q適用されている文字を変更してその書式をもとに新しい[段落スタイル]を作成したためです。つまり、元の段落スタイ(基準は[リュウミンPro_ R-KL_24Q]だということですしかし、このままですと新規段落スタイルは[リュウミンPro _R-KL_24Q]の「子スタイル」ということになりま(子スタイルについては下段落スタイルの階層構造を参照してください

新規段落スタイル

今回は、まったく新しく段落スタイルを作りたいので、基準を[段落スタイルなし]に設定します。
基準を[段落スタイルなし]に設定すると、その下の[スタイル設定]の表示が変わります。上の図とみくらべてください。上の図では1行しか表示されてなかったのに、下の図では細かく設定内容が表示されています。
ただ、ここの文字は小さいので、サイドメニューの[基準文字形式]以下をチェックして、設定が正確かどうか、フォントが「小塚ゴシックPr6N-H」に変更されているかどうかを確認してください。

選択範囲にスタイルを適用

これで「新規段落スタイル」の作成は完了ですが、一番下にある赤枠内の[選択範囲にスタイルを適用]にチェックを入れてから[OK]をクリックしてください チェックを入れてから[OK]をクリックすると[新規段落スタイル]ダイアログを閉じると同時にあいうえお」の段落に作成したスタイルが適用されます[選択範囲にスタイルを適用]にチェックが入っていない場合はあいうえお」はフォントを変えただけで段落スタイルは元のまま[リュウミンPro_R-KL_24Q]ということになります。

新規段落スタイル

段落スタイルの階層構造


段落スタイル階層 [段落スタイル]は、親と子のように階層で作成したほうが便利です。右の図は[段落スタイル」を階層構造で作成した見本です。
まず、大きく「本文グループ」と「見出しグループ」にわけます。そのなかにそれぞれ「00_本文基本」と「00_見出し基本」という基本となる段落スタイルを作成します。
その「00_本文基本」の下に「01_本文1段」や「02_本文2段」などの「子グループ」を、また「00)見出し基本」の下に 「01_大見出し」や「03_小見出し」などの「子グループ」を 作成します。
このよう[段落スタイルを階層で作成管理すると「子グループ」に含まれる[段落スタイル]は「親スタイル」から変更したところだけを設定すればよいことになります。

この[親スタイル]と[子スタイル]の関係を以下の例で説明します。
下の図は[02_見出しグループ]内の[00_見出し基本]と[01_大見出し]の段落スタイルの設定です[00_見出し基本]の[基準]をみてください「段落スタイルなし」になっています。赤枠内の[スタイル設定]が、こまかく表示されています。

段落スタイル

それに対して[01_大見出し]の段落スタイルは[基準]が親スタイルである[00_見出し基本 になっています[スタイル設定]は、親スタイルである[00_見出し基本]から変更したところだけが表示されています。そのため[00_見出し基本]との相違がすぐにわかります。具体的にはフ ォントとフォントサイズが変更になっています。それ以外のところは[00_見出し基本と同じ設定です。

段落スタイル

しかし、たとえば[00_見出し基本]のOpenType機能の「プロポーショナルメトリクス」OFFに変更した場合[01_大見出し]のプロポーショナルメトリクスも自動的に OFF になります。
逆にいうと、これは危険なことでもあります。安易に「親グループ」の設定を変更すると、その変更が「子グループ」に影響してしまうからです。「親グループ」の設定を変更する場合は、十分注意してください。
段落スタイルパネル・新規作成 なお、スタイル名にナンバーをつけておくとスタイルを[名前順]にソートしたときに探しやすくなるので便利です。

段落スタイルの適用


段落スタイル適用 段落スタイルを適用する方法は、説明する必要もないでしょうが、とても簡単です。適用するテキストを選択して、段落スタイルの「スタイル名」をクリックするだけです。文字を選択せず、字間にカーソルを置いてクリックしただけでも、カーソル位置の段落全体にスタイルが適用されます。

段落スタイル適用 段落スタイルを解除したい場合は、解除したにカーソルを入れて[段落スタイル]というタブの右側にある三角形をクリックします。パネルメニューが表示されるので[スタイルとのリンクを切断]をクリックします。
これで段落スタイルは解除されます。しかし書式は元のままですつまり上の例でいうと「あいうえお」は小塚ゴシックのままということです。
フレームグリッド設定に書式を戻したい場合[option+スタイルとのリンクを切断]をクリックします上の例でいうと[option+スタイルとのリンクを切断]をクリックすると「あいうえお」がリュウミンProに戻ります。
解除したいテキストを選択していない場合は、パネルメニュー[スタイルとのリンクを切断]がグレー表示され、クリックできません。

【補足】 上記「テキスト書式から作成」で説明したように[段落スタイル]を作成したり変更したりするとき設定パネルの[選択範囲にスタイルを適用]にチックを入れてから[OK]をクックした場合も、選択していたテキス(段落全体に段落スタイルが適用されます。
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