▶ InDesign : NewDocument[文字組の基本]

レイアウトグリッド設定


前章[新規ドキュメント作成]で説明したように、テキストがメインの一般的な書籍の場合、ドキュメント作成方法は[レイアウトグリッド]を選択して作成します。

新規ドキュメント

[レイアウトグリッド]をクリックすると、下の図のような[新規レイアウトグリッド]ダイアログが表示されます。下の図の[グリッ書式属性[行と段落[グリッ開始位置は、アプリケーションデフォルトとしInDesignに登録した設定です。

新規レイアウトグリッド

新規レイアウトグリッドの設定はとても簡単です。ダイアログの[プレビュー(上図赤丸内にチェックを入れておくと[新規レイアウトグリッド]のバックグラウンドに、レイアウトグリッドが表示されます。設定を変えると同時にグリッドも変化するので、レイアウトを確認しながら設定することができます。
また[新レイアウグリッド]に[字間[行間[文字数[行数[段落]を設定すると、自動的に版面のサイズが計算され表示されま(上図赤枠内

新規レイアウトグリッド

定が終わっOKをクリックすると[レイアウトグリッド]が配された1ページ目が表示されますただしこのレイアウトグリッドは版面や字詰めなどを示すガイドのようなもので、ここにテキスト配置されるわけではありませんキュメン作成方法・レイアウトグリッ」で説明しましたが、テキストは[フレームグリッド設定]の書式にもとづいて配置されます。ですので [新規レイアウトグリッド]を作成したあとで、そのレイアウトを変更した場合、テキストがグリッドにそろわなくなることがあります。それについては、本章の[レイアウトグリッドの変更]で、くわしく説明します。

字間……均等詰め[1H詰め]

本文の字送り「1H詰めなどの均等詰めにする場合は[新規レイアウトグリッド]の[字間 「-1」と入力します[字送りが自動的「12Hになります下の図のよう[字間]に「-0.5 と入力すれば[字送り]は自動的に「12.5H」になります
ただし[字間]にマイナスやプラスの数値を設定しても[文字パネル]のトラッキング値」は変わりませ(下図右側赤枠内参照

均等詰め

デザイナーによっては、ベタ組を基本とし、均等詰めを嫌う人もいます。フォントは、フォントデザイナーがベタ組で最適なかたちになるよう設計しているから、というのが理由です。
小説のように1段組で、ゆっくり読ませる文章の場合は、ベタ組のほうがいいのかもしれません。雑などのように多段組で、行長が短い場合は、-0.5H詰めなどの均等詰めを使用することが多いと思います。と言うより、行長が短い場合、ボディが大きい書体でないかぎり、ベタ組だと文字がパラけて読みにくくなります。

自動行送り 行間

一般的に行送りは、本文サイズ「175%標準とされています。ですから行間「75%が標準ということになりますこれを活版印刷や写植の時代「二分四分ア(にぶしぶあきと言っていました。InDesignの自動行送りの設定値もデフォルトは「175%」になっていま(右図赤枠内)。
ただたとえ「13Qの場合行送り175%だ「22.75Hになります。行間「9.75Hです 小数点以下の端数がでると計算がめんどうなのでBOOKHOUSEでは、行送「23H、行「10H にしています。
行送り「150%以下にすると本文にルビをふる場合ルビのサイズは普通本文サイズの50%ですから、ルビと本文がくっついてしまいます。

【補足】 行送りは「行オ」と略記されます。[ジャスティフィケーション]については[デフォルトの設定→ジャスティフィケーション]を参照してください。

行文字数

1行の文字数は1段組の場合、一般に35字から45字ぐらいといわれています。50字を超えると可読性が悪くなります。

段組

段間は、原則的に本文のフォントサイズの倍数にします。通常は本文2字から3字分です。

天・地・ノドのアキ

[天]と[小口のアキを入力すると[地]と[ノドのアキが計算されますこれらのアキをあまりに狭くすると、特別なデザインでないかぎり、狭苦しいレイアウトになります。また、製本の綴じ方も考慮にいれなければなりません「糸綴(かがり」や「アジロ綴じ」は一般的なノドアキ寸法でかまいませんが「無線綴じの場合はド側がmmほど削られるのでそのぶんを考慮にいれてアキを決めます。「針金綴じ」や「中綴じ」の場合もアキを調整しなければなりません。

【補足】 「アジロ綴じ」は、本の背の部分に切れ目を入れ、そこから接着剤を浸透させて綴る製本方法です。「本製本=糸綴じ」ほどではないですが、ノド近くまでページを開くことができます。
「無線綴じ」は本の背側を3mmほど落としてギザギザに加工(これ「ガリ入れと言います、そのギザギザ部分に接着剤を浸透させる製法方法です。

【column】
版面の計算方法

字間行間 InDesign版面寸法を自動的に算出してくれますが、電卓を使って自分で計算する方法も覚えてください。これは、編集者や書籍デザイナーにとって基本的な知識なので、ご存知の方は読みとばしてください。
版面計算を説明するまえ「字送りと字間「行送りと行間」の簡単な説明をします。
右の図をみてください。字間は字送りからフォントサイズを引いた数値です。行間は行送りからフォントサイズを引いた数値です。
たとえばフォントサイズ「13Q」の文字を字送り 「12.5H」で送る場合、字間は「-0.5H」になります行送りも同じです。フォントサイズ「13Q の文字を行送り「23H」で送る場合、行間は「10H」になります。

それでは版面の計算方法です。
版面の計算方法には、文字の端を基準点にする「トップ・センター」方式と、文字の中央(右の図の赤丸)を基準点にして計算する「センター・センター」方式があります。どちらも同じことですが、 ここでは「トップ・センター」方式で説明します。

字間行間 それほどむずかしい計算ではありません。小学生のときに習った「植木算」です。
右の図は下記の書式になっています。
 フォンサイズ……13Q
 字送り……12.5H(-0.5H均等詰め
 行送り……23H
 字詰………46字
 行数………17行

まずは行長の計算から。
46字詰めですから字間の数は「46字 −1=45個」になりますそれを字送り 「12.5H」で送るのですから、字送りの合 (長さは「字間45個×字送り12.5H=562.5H」になります。これに「トップ・センターに含まれない行末の1文字「13Qを加算します「562.5H13Q=575.5H。 これが行長です。
つぎは版面の左右の計算です。
1ページの行数が「17行」ですから行間の数「17行−1=16個になります。行送りは「23H」ですから行送りの合計は「行間16個×行送り23H=368H」になりますそれに「トップ・センター」に含まれない最終行の1文字分「13Q」を加算します「368H13Q=381H。これが左右の幅です。

  行長………(字詰め46字−1字×字送り12.5H+13Q=575.5H→143.875mm
  左右の幅…(行数46行−1行×行送り23H+13Q=381H→95.25mm

字送りがベタの場合、行長の計算は、もっと簡単です。「フォントサイズ×1行の文字数」です。
ミリメートルに換算するときは「1Q=1H=1/4mm」ですから「4」で割ります。

【column】
モノサシで字送りを計測する方法

字間行間 印刷された文の字送りを調べるときは通常Q数表」を使いますが普通のモノサシでも字送りを調べることができます。
右の図のように4文字の長さを測ります。そのときモノサシの目盛は、できるだけ字間の中央にあわせてください。Q数や歯数をミリメートルに換算するときは 「4」で割るのですから4文字分の長さが1文字の字送(歯数になります。
右の図の場合は4文字で「14mm」ですので字送りは「14H」です。字送りが「13.75H送り」のように微妙な送りになっているときはこの方法では無理ですが、おおよその字送りがわかります。

フレームグリッド設定を確認する

フレームグリッド設定 [新規レイアウトグリッド]を作成したら[フレームグリッド設定]をチェックします。
チェックする場合は、左の図のようにメニューバーの[オブジェクト→フレームグリッド設定]をクリックして[フレームグリッド設定]を表示させます。
下の図をクリックして大きくしてみてください。 左側の[新規レイアウトグリッド]で設定した書式が右側の[フレームグリッド設定]に自動的に反映されていま(赤枠内

フレームグリッド
グリッドフォーマットを確認する

フレームグリッド設定 グリッドフォーマット [新規レイアウトグリッド]を設定してドキュメントを作成すると、グリッドフォーマットパネルに[レイアウトグリッド]というフォーマットが自動的に作られます。このフォーマットには[新規レイアウトグリッド]で設定した値が反映されています。
[グリッドフォーマット]は、右の図のようにメニューバー[書式→グリッドフォーマット]をクリックして表示させます。
右下図は[レイアウグリッド]にカーソルをおいた図です[フォント[フォントサイズ [水平比率[垂直比率[字間[行間]が表示されています。[新規レイアウトグリッド]の設定と同じかどうか確認します。

フレームグリッド なお、新規レイアウトグリッドを作成したとき、 いちばん下の左側の図のように「グリッドフォーマット」が選択されていない場合は[新規レイアウトグリッド]の設定が[フレームグリッド設定]に反映されません。
もし選択されていなかったら、右側の図のように「グリッドフォーマット」 を選択した状態にしてください。通常は「グリッドフォーマット」を選択した状態になっているはずですから、選択されていない場合は、なにかの拍子に選択を解除してしまったのかもしれません。

【補足】 [グリッドフォーマット]には、複数の[フレームグリッド設定]を記憶させることができます。くわしくは[グリッドフォーマット]を参照してください。
レイアウトグリッドの変更

レイアウトグリッド設定 [レイアウトグリッド設定]は、新規ドキュメントを作成したあとでも変更することができます。 変更する場合は、メニューバー[レイアウト→レイアウトグリッド設定]をクリックします。下の図のような[レイアウトグリッド設定]が表示されます。[新規レイアウトグリッド]と同じようにみえますが、タイトルが[新規レイアウトグリッド]ではなく[レイアウトグリッド設定]になっています。

レイアウトグリッド設定

レイアウトグリッド設定 [レイアウトグリッド設定]を変更するときは、 かならず[マスターページ]を選択してから変更します。
マスターページは、メニューバーの[ウィンドウ →ページ]を選択して[ページパネル]を表示させ、パネルの[マスター名]をダブルクリックしま(下図赤枠内参照
ページを選択した状態で変更すると、そのページだけに適用される[レイアウトグリッド設定]になります。

レイアウトグリッド設定

ただし、一度[新規レイアウトグリッド]を設定すると、そのあと [レイアウトグリッド設定]を変更しても、変更した書式は[フレームグリッド設定]に反映されません。反映するのは、最初に設定した[新規レイアウトグリッド]の設定です。

そのことをもう少し詳しく説明します。
単行本の場合、あたらしくドキュメントを作成するときに、通常、 新規ドキュメントパネルの[レイアウトグリッド]ボタンを選択します。そして[新規レイアウトグリッド]に書式や天地左右のアキを入力してOK]をクリックしますするそれと同時に[新規レイアウトグリッド設定]と同じ設定の[フレームグリッド設定] が自動的に作成されます。もう一度[フレームグリッド設定を確認する]の図版をみてください。同じ設定になっています。この状態ならばテキストがレイアウトグリッドにそろいます。
しかし、新規ドキュメントを作成したあと、なにかの都合でレイアウトグリッド設定を変更したとします。すると薄緑色のガイドは変化しますが、そこにテキストを流し込んでも、テキストはガイドにそろいません[フレームグリッド設定]はいちばん最初に設定した[新規レイアウトグリッド] にもとづいされ[新規レイアウトグリッド]を変更してもそれだけでは[フレームグリッド設定]には反映されないのです。[レイアウトグリッド設定]と[フレームグリッド設定]が異なっている場合、テキストはレイアウトグリッドにそろいません。
テキストをレイアウグリッドにそろえるためには[フレーグリッ設定]を[レイアウトグリッド設定]と同じ内容に再設定しなければなりません。つぎのように操作します。

  ① マスターページに移動して、メニューバー[レイアウト→レイアウトグリッド設定をクリックします。
  ② レイアウトグリッド設定 [レイアウトグリッ設定]変更しますその際[グリッドフォーマットパネル]の[レイアウトグリッド]が選択されていることを確認してください。選択されていない場合は[レイアウトグリッ設定]が[フレーグリッド]に反映されませ(右図参照
  ③ メニューバー[オブジェクト→フレームグリッ設定]をクリックして[フレームグリッ設定]を表示させます。設定が変更した[レイアウトグリッド設定]と同じ設定値になっていることを確認してください。通常[レイアウトグリッド設定を変更したら[フレームグリッド設定]も同じ設定になっているはずです。
[フレームグリッド設定]を確認した[OKクリックします。これでテキストを配置すればグリッドにそろうはずです。つまり[レイアウトグリッド設定]を変更したら、もう一度[フレームグリッド設定]を表示させてOKをクリック=変更を確定させる」ということですね。

ただし[レイアウトグリッド設定]を変更しても、テキストを配置したあとでは、レイアウトは変更されません。たとえば1行の字詰め4540に変更したとしても下の図のように字詰めは変わりません。テキストを配置したあとで字詰めを変更する方法は「レイアウト調整」を参照してください。

プライマリーテキストフレームの注意点

レイアウトグリッド設定プライマリーテキストフレーム]にチェックをいれてドキュメントを作成した場合、新規レイアウトグリッドを作成すると同時に、 ページに[テキストフレーム]が作成されます。このテキストフレームは、新規レイアウトグリッドを作成したときの[フレームグリッド設定]が適用されています。
新規ドキュメントを作成したあとで[レイアウトグリッド設定]や[フレームグリッド設定]を変更しても、ページのテキストフレームは、変更前の[フレームグリッド設定]のままで更新されません。そこにテキストを流し込んでも、テキストがグリッドにそろわないのです。
プライマリーテキストフレームで作成したドキュメントのレイアウトを変更する方法は、 「レイアウト調整」を参照してください。

【補足】 adobeのサイトによると、フレームグリッドの書式属性は[ドキュメントデフォルト[アプリケーションデフォルト[レイアウトグリッド設定]という優先順位で決定されているそうです。
Copyright © 2015 BOOKHOUSE