[変数]とは、たとえば「変数1」と名づけた記憶領域にデータを保存しておき、そのデータを指定したエリアに表示させる機能です。 InDesignの[テキスト変数]は、後述する[段落スタイル]や [文字スタイル]に設定した文字を、指定したテキストフレームに表示させる機能です。[テキスト変数]に「章番号」や「ファイル名」などを設定して表示させることもできますが、ここでは「柱」 として表示させる方法を説明します。
●柱のテキストフレームを作成する
まず、マスターページに「ノンブル」と「柱」のテキストフレームを作成します。「ノンブル」のテキストフレームには[ページ番号マーカー]を入力しておきます。下の図が「ノンブル」と「柱」のテキストフレームを設定したマスターページです。「柱」のテキストフレームには、まだなにも入力していません。
今回は、左ページの柱に本文の「小見出」を、右ページの柱に「章タイトル」を設定します。
●左ページの設定
まず、左ページの「柱」のテキストフレームにカーソルを入れてください。
つぎに、メニューバー[書式→テキスト変数
→変数を挿入→ランニングヘッド・柱」を選択します。
テキストフレームに[<ランニングヘッド・
柱>]というマーカーが挿入されます。
左ページの「柱」のテキストフレームにカーソルを入れたまま、メニューバー[書式→テキスト変数
→定義」を選択します。[テキスト変数]というダイアログが表示されます(下図参照)。
そのダイアログの上から2行目[ランニングヘッド・柱]を選択して[編集]をクリックします。
[編集]をクリックすると[テキスト変数を編集]というダイアログが表示されます。
左の図の上から2行目[種類]の右横にある小さな三角形をクリックすると下の図のようなメニューが表示されます。
「柱」の場合、通常、[ランニングヘッド・柱(文字スタイル)]か、[ランニングヘッド・柱(段落スタイル)]を選択します。ここでは[ランニングヘッド・柱(文字スタイル)]を選択しました。その理由は後述[ランニングヘッド・柱(文字スタイル)]を参照してください。
[段落スタイル]や[文字スタイル]については、[文字組の基本]の「段落スタイル」および「文字スタイル」で説明します。
つぎに、左上の図の[スタイル]の右横にある三角形をクリックします。左の図のようなメニューが表示されます。
これは、あらかじめ設定しておいた「文字スタイル」です。
左ページの「柱」には「見出し」を配置します。
これでダイアログ[テキスト変数を編集]の設定は完了です。最後に[OK]をクリックします。
●右ページの設定
右ページの「柱」の設定はちょっと複雑です。設定するまえに[新規テキスト変数]を作成します。
まず、メニューバー[書式→テキスト変数→定義」を選択します。下の右側の図のように[テキスト変数]というダイアログが表示されます。
そのダイアログの[新規]をクリックします。
下の図のような[新規テキスト変数」というダイアログが表示されます。
[名前]は、初期値の「変数1」となっています(下左図赤枠内)が、好きな名前に変えてかまいません。ここでは初期値のままで進めます。
つぎに[種類]の右横にある小さな三角形(赤丸内)をクリックして、[ランニングヘッド・柱(文字スタイル)]を選択します。
[種類]を[ランニングヘッド・柱(文字スタイル)]に設定すると、ダイアログに[スタイル]などの設定項目が追加されます。[スタイル]の右横にある小さな三角形(赤丸内)をクリックして、[章タイトル]を選択します。
これで[OK]をクリックすれば[新規テキスト変数」の作成完了です。
それでは右ページの「柱」のテキストフレームに[テキスト変数]を設定していきます。まず、右ページの「柱」のテキストフレームにカーソルを入れてください。
つぎに、メニューバーの[書式→テキスト変数→変数を挿入→変数1」を選択します(変数名を変えている場合はその変数名を選択)。
テキストフレームに[<変数1>]というマーカーが挿入されます。
これで左右ページの[テキスト変数]の設定が完了です。
●テキスト変数を設定
ためしに章タイトルに「章タイトルの見本」と入力し、見出しに「見出しの見本」と入力してみました。それぞれ[文字スタイル]を下の図のように適用しています。クリックして大きくしてみてください。左右ページの「柱」が指定どおりに表示されています。
●先行テキスト・後続テキスト
[テキスト変数を編集]というダイアログに[先行テキスト]と[後続テキスト]という設定があります。これは「柱」のテキストの前、または後ろに、任意のテキストを追加する機能です。ためしに[先行テキスト]に柱文の前に「BOOKHOUSE」と全角スペースを、[後続テキスト]に柱文の後に全角スペースと「TEST」という文字を追加してみましょう。
下の図のように「柱」の前後に指定したテキストが配置されます。
「全角スペース」などは、 直接入力することもできますが、[先行テキスト]や[後続テキスト]の右横にある三角形をクリックすると、下の図のようなメニューが表示されます。ここで選択すると、 たとえば「全角スペース」の場合は、「 ^( 」という記号が入力されます。
●ページの先頭・ページの最後
[テキスト変数を編集]というダイアログに[使用]という設定があり、[ページの先頭]と[ページの最後]を選ぶことができます。[ページの先頭]は、同一の[スタイル]を設定したテキストのうち、ページの最初にあるテキストを変数に代入する機能です。[ページの最後]は、ページの最後にある同一スタイルのテキストを変数に代入する機能です。
下の図がその設定例です。[変数1]と[変数2]という[テキスト変数]を作成しました(テキスト変数の作り方は本章「右ベージの設定」のなかの「新規テキスト変数の作成」を参照してください)。
両方とも[スタイル]は「見出し」です。 また、[変数1]には[先行テキスト]として隅つきパーレン「【 」を、[変数2]には[後続テキスト]として隅つきパーレン「 】」を設定しました。
下の図はマスターページです。クリックして大きくしてみてください。左右ページの「柱」に[変数1]と[変数2]を設定しました。その間にフォントサイズを小さくした3点リーダを配置しました。 [先行テキスト]と[後続テキスト]も表示されています。[ランニングヘッド・柱]は「章タイトル」に設定しました。
下の図が実際の組版例です。クリックして大きくしてみてください。
たとえば右ページの場合、本文のインデックス「あ」から「な」までを、文字スタイル「見出し」に設定しています(隅つきパーレン【】は文字スタイル「見出し」に設定していません)。
ページの最初にある文字スタイル「見出し」のテキスト「あ」を[変数1]に代入し、ページの最後にある文字スタイル「見出し」のテキスト「な」を[変数2]に代入しています。左ページも同じ設定になっています。下の図が完成した見本組です。
●ランニングヘッド・柱(文字スタイル)/ランニングヘッド・柱(段落スタイル)
[テキスト変数を編集]というダイアログには、[ランニングヘッド・柱(文字スタイル)]と、[ランニングヘッド・柱(段落スタイル)]という設定があります。
いままで[ランニングヘッド・柱(文字スタイル)]をメインに使用してきました。 これには理由があります。
上記の例で説明します。
「用語解説」を[段落スタイル]で設定していたとします。そして、テキスト変数を[ランニングヘッド・柱(段落スタイル)]に設定すると、段落スタイルが適用されている段落全体、「用語解説」の「」を含んだテキスト全部が「柱」に表示されてしまうのです。【あ】もそうですね。隅つきパーレン【 】も「柱」に含まれてしまいます。
ですので、段落に「柱」にしたくないテキストがある場合は、[ランニングヘッド・柱(文字スタイル)]に設定します。