「テキストの整理」が終わったら、いよいよ「テキストの配置」です。でも、テキスト配置をするまえに、縦組みなのか、横組みなのか、組む方向を設定しておきます。
設定は[組方向]、または[ストーリー]で指定します。 くわしくは「デフォルトの設定→組方向とストーリー」を参照してください。そこでも説明したのですが、組方向「縦組み/横組み」は、テキストを配置した後でも変更できます。でも、あとから組方向を変更するとフレームの位置がずれたりするので、はじめに設定しておくようにします。
新規ドキュメントを作成をするときに[プライマリテキストフレーム]を選択してドキュメントを作成した場合(マスターページとドキュメントページにテキストフレームがある場合)は、テキストがフレームグリッドにそって流し込まれるので、組方向がどちらに設定してあっても大丈夫です。
InDesignで「テキスト配置」を実行する方法は3つがあります。
① 配置コマンドを使用する方法
② ディスクトップからファイルをドラッグする方法
③ エディターソフトからコピー&ペーストする方法
それでは[配置コマンドを使用する方法]から説明します。
配置コマンドは、メニューバーの[ファイル→配置]を選択して、下の図のような[配置]ダイアログを表示させます。そのダイアログで配置するファイルを選択し、[開く]をクリックします。
そのとき、赤丸内[読み込みオプションを表示]
にチェックを入れると、読み込む方法を細かく指定することができます。
[読み込みオプション]は、読み込み元のフォーマットが「RTF」と「TXT」では設定項目が異なります。「RTF(リッチテキストフォーマット)」は、フォントやサイズの指定などの簡単なレイアウト情報を持つフォーマットです。「TXT」は、文字データだけが収容されているファイルです。 下の図の上が「RTF」の読み込みオプション、下が「TXT」の読み込みオプションです。
BOOKHOUSEの場合、「RTF」で読み込むことはほとんどありません。「RTF」のデータでも、つねに「TXT」に変換してから読み込んでいます。レイアウト情報を読み込むと、自分たちが意図しない指定が入ったりして、最終的な文字組に責任がもてなくなるからです。
●テキストの流し込み方法
テキストの流し込み方法は、[プライマリテキストフレーム]がOFFの場合とONの場合では、多少異なります。まずは、プライマリテキストフレームが OFF の場合を説明します。
プライマリテキストフレームがOFFの場合、テキストの流し込み方法には、「手動流し込み][半自動流し込み][自動流し込み][固定自動流し込み]の4つの方法があります。
① 手動流し込み
② 半自動流し込み
③ 自動流し込み
④ 固定自動流し込み
流し込み方法の説明を始めるまえに「流し込みアイコン」の説明をします。下記の「流し込み方法」 に示したアイコンのうち、左側にあるアイコンは、配置をクリックすると表示されるアイコンです。 ポインターが流し込みが可能な位置にくると、右側のアイコンに変わります。
① 手動流し込み
[配置]ダイアログで[開く」をクリックすると、ポインターが[手動流し込みアイコン]に変化します。そのポインターでテキストを流し込む開始位置をクリックします。
開始位置のページでテキストが収まらない場合でも、そのページで流し込みは終了します。
続きのテキストを流し込む場合は、ページを増やして、右の図のプラスマーク「+」を選択し、つぎのページの開始位置でクリックします。
② 半自動流し込み
[配置]ダイアログで[開く」をクリックしたあと[option]キーを押すと、ポインターが[半自動流し込みアイコン]に変化します。そのポインターでテキストを流し込む開始位置をクリックします。
テキストがフレームに収まらない場合、流し込みは一時中止しますが、ポインターが[流し込みアイコン]のままなので、つぎの配置位置にポインターをあわせてクリックします。すべてのテキストを流し込むまで流し込みを続行することができます。雑誌などでページの数か所にテキストフレームがある場合などに便利な機能です。
③ 自動流し込み
[配置]ダイアログで[開く」をクリックしたあと[shift]キーを押すとポインターが[自動流し込みアイコン]に変化します。そのポインターでテキストを流し込む開始位置をクリックします。
すべてのテキストが流し込まれるまで自動的にページを追加します。
BOOKHOUSEでは、この配置方法をよく使います。
④ 固定ページ自動流し込み
あらかじめ必要とするページが作成してある場合の流し込み方法です。
[配置]ダイアログで[開く」をクリックしたあと、[shift+option]キーを押すと、ポインターが[固定ページ自動流し込み]に変化します。そのポインターでテキストを流し込む開始位置をクリックします。テキストは作成したページ数に達するまで配置されます。
配置できなかったテキストはあふれた状態のままとなります。続けてテキストを流し込む場合は、ページを増やして、上記の「手動流し込み][半自動流し込み][自動流し込み]などで、次ページの開始位置をクリックします。
▶配置位置の確認
「流し込みアイコン」が配置可能な位置にきてアイコンが変化し、その位置でテキストを流しこんだとしても、流し込んだフレームの位置やフレームの大きさが微妙にズレてしまうことがあります。
そのため、テキストを配置したら、配置したフレームを選択して[変形パネル]または[コントロールパネル]で、フレームの位置を確認します(右図赤枠内参照)。ズレていたら[変形パネル]または[コントロールパネル]に正しい数値を入力して修正します。
●プライマリテキストフレームにテキストを流し込む場合
[プライマリテキストフレーム]にチェックを入れてドキュメントを作成した場合、
テキストの配置は簡単です。1ページ目のテキストフレームを選択して、メニューバー[ファイル→配置]をクリックして配置するテキストを選びます。それだけでテキストが流し込まれます。テキストフレームを選択していれば、流し込みの開始位置にポインターをあわせる必要がありません。
はじめに1ページ目のテキストフレームを選択することを忘れても、流し込みアイコンが表示された段階で、フレームをクリックすれば流し込まれます。
上の図が[プライマリテキストフレーム]のマスターページです。
右ページの左上にマークがあります(赤枠内)。これは[プライマリテキストフロー]の[有効/無効]を設定するマークです。[プライマリテキストフロー]は、テキストを配置するときに、ページに収まらないテキストがあった場合、自動的にページを増やす機能です。
下の拡大した図をみてください。 左側の図がプライマリテキストフローが[有効]の状態、 右側が[無効]の状態です。それぞれのマークにカーソルをおくと、下の図のように[ヒント]が表示されます。右側の図のマークをクリックすると、プライマリテキストフローが[無効]に切り替わり、右側の図のマークをクリックすると、プライマリテキストフローが[有効]に切り替わります。
プライマリテキストフローが[有効]の場合でも、環境設定の[スマートテキストのリフロー処理] がデフォルトの設定のままONになっている場合と、OFFの場合では、このあとの操作が多少異なります。
ON の場合 | 1ページ目に収まらなかったテキストがある場合は、自動的にページが増えて、最後までテキストが流し込まれます。プライマリテキストフレームでドキュメントを作成する場合は、[スマートテキストのリフロー処理]や[プライマリテキストフロー]をONにしておきます。 |
OFF の場合 | 1ページ目で流し込みが終了します。1ページに収まらないテキストがある場合は、ページを増やして、上記[手動流し込み]で説明したプラスマーク「+」を選択し、「手動流し込み][半自動流し込み][自動流し込み][固定自動流し込み]で、テキストを流し込みます。 |
ディスクトップにあるファイルをドラックするだけです。ページに収まらないテキスト(オーバーフローテキスト)がある場合は、ページを増やしてから、前記の「自動流し込み」をしてください。でも、BOOKHOUSEでは、この機能はほとんど使いません。べつに使わない理由もないのですが、なんとなくです……。
プライマリテキストフレームを選択してドキュメントを作成した場合で、かつ[スマートテキストのリフロー処理]がデフォルトのままON場合は、ファイルをドラッグするだけで、自動的にページが増え、最後までテキストが流し込まれます。
BOOKHOUSEの場合、この方法は、部分的にしか使いません。たとえば、赤字訂正をするとき、訂正テキストをコピーして、訂正箇所にペーストするといった場合です。著者から赤字部分だけの訂正テキストが送られてくることが多いのです。
また、BOOKHOUSEでは、「フォーマットなしでペースト]のショートカット【command ⌘+shift+v】を使いたいため、[すべての情報(索引マーカー、スウォッチ、スタイルなど)]にチェックを入れています。Wordなどでスタイルが設定されている場合、「フォーマットなしでペースト]を選択しないかぎり、その情報を保持したままペーストされます。くわしくは「環境設定→クリップボードの処理→ペースト・すべての情報」を参照してください。
テキスト配置は、あらかじめ作成したフレームにテキストを配置する方法と、配置するときに新しくフレームを作成する方法にもわけられます。
前者の「あらかじめ作成したフレームにテキストを配置する方法」は、上記のテキスト配置に近いものです。後者の「配置するときに新しくフレームを作成する方法」は下記の2つの方法にわけられます。ただし、書籍の文字組の場合、後者の「配置するときに新しくフレームを作成する方法」は、あまり使いません。
手動作成 |
配置カーソル(流し込みアイコン)
のまま、流し込むエリアをドラッグして、フレームを作成する方法です。 エリアに収まらないテキストがある場合は、エリアを広げるか、上記の[手動流し込み]で説明したフレームの行末に表示されるプラスマーク「+」を選択して、新しいエリアを作成します。 |
自動作成 |
配置したい位置でカーソルをクリックして、 自動的にフレーム(配置領域)を作成する方法です。 フレームに収まらないテキストがある場合は、フレームを広げるか、上記の[手動流し込み]で説明したプラスマーク「+」を選択して、もう一度、配置したい位置でカーソルをクリックします。 |
これらの「フレームを新しく作成して配置する方法」の場合、作成されるフレームが[フレームグリッド]なのか、[プレーンテキストフレーム]なのかは、[配置]ダイアログの[グリッドフォーマットの適用]のチェックの無有で決まります(下図赤枠内参照)。
[グリッドフォーマットの適用]にチェックが入っている場合は、[フレームグリッド]が作成されます。
チェックが入っていない場合は、メニューバー[書式→ストーリー]の設定で決まります。
右の図が[ストーリーパネル]です。[フレームの種類]が[プレーンテキストフレーム]ならばプレーンテキストフレームが、[フレームグリッド]ならばフレームグリッドが作成されます。[ストーリー]の設定については[デフォルトの設定→組み方向とストーリーの設定]を参照してください。
[グリッドフォーマットの適用]または[ストーリーパネル]でフレームグリッドが作成された場合は、フォントサイズや行間などが「フレームグリッド設定」に基いて作成されます。
プレーンテキストフレームが作成された場合は、フォントサイズや行間などが[文字パネル」の設定を基準に、フレームサイズは[レイアウトグリッド設定」を基準に作成されるようです。……と言葉で説明しても、わかりづらいですね。ようするに、流し込まれたテキストのフォントやサイズは「文字パネル」の設定どおりに、フレームの大きさは[フレームグリッド設定」の近似値で決定するということなんですけど。これでも、わかりにくいですね。
下の見本は、上の「フレームグリッドが作成された場合」との違いがわかりやすいよう、[文字パネル]のフォントサイズを極端に大きく、しかも変形をかけてみました。