[代替(だいたい)レイアウト]を使用すると、 元のレイアウトを残したまま、 新しいレイアウトを作成することができます。InDesign CS6から追加された新しい機能です。
もともと[代替レイアウト]は、たとえばiPadなどのタテ表示のレイアウトをもとにして、ヨコ表示のレイアウトを作成するときなどに使用するそうです。そういう意味では、紙媒体むけの機能ではないとも言えます。
しかし、紙媒体でも[代替レイアウト]を利用すれば、字詰めや行数はもちろん、判型や組方向を変えた試作を比較的簡単に作ることができます。「ためしに、1行45字詰めを40字詰めにして、どんな感じかみてみよう」などというときに便利です。
さて、[代替レイアウト]の作成ですが、今回は、1行44字詰めのレイアウトを、1行21字詰め2段組のレイアウトに変更してみます。
●レイアウトパネルの変更
まず、メニューバーの[ウィンドウ
→ページ]をクリックして[ページパネル]を表示させます。
つぎに、右の図の赤枠内をダブルクリックして、名前を変えます。できるだけ短く、わかりやすい名前に変えてください。右の図のように長いと、途中で切れてしまいます。
ここでは「44W」としました。
ただ、この設定は、必須ではありません。レイアウトを選択するとき、
迷わず、スムーズに選択できるようにするためです。
この[レイアウト名]のエリアは非表示にすることもできます。[ページパネル]の横にある三角形
(赤丸内)をクリックして、[横方向]または[縦方向]を選択すると非表示になります。
●リキッドレイアウトパネル
まえにも説明しましたが、一度テキストを配置してしまうと、[レイアウトグリッド設定]を変更しても、流し込まれたテキストのレイアウトは変わりません。
テキストを配置したあとにレイアウトを変更する場合は、[レイアウト調整]を
ONにしておく必要があります。
そのために、まず[リキッドレイアウトパネル]を表示させます。表示の仕方は前出[レイアウト変更]を参照してください。
つぎに[リキッドレイアウトパネル]の右横にある小さな三角形をクリックします。「レイアウト調整]というメニューが表示されます。
それを選択すると、「レイアウト調整]
ダイアログが表示されます。その一番上にある[レイアウト調整を使用](赤丸内)にチェックをいれて、[OK]をクリックします。
[代替レイアウト]を作成するときは、マスターページではなく、ドキュメントページを選択しておきます。すでに作成した[代替レイアウト]があるときは、元のレイアウトと代替レイアウトのなかから、新しく作成するレイアウトの基準になる[レイアウト]を選択し、そのドキュメントページをクリックします。
作成方法は3つあります(右側に示した図はいずれもクリックすると大きくなります)。
【補足】 | 基準になる[レイアウト]は、[代替レイアウト]ダイアログの[元のソースページ]という項目の横にある三角形をクリックしても選択できます。 |
ダイアログの[OK]をクリックすると、[ページパネル]に新規マスター「B-マスター 21W_2D」
が追加され、代替レイアウト「21W_2D」が作成されます(下図参照)。
ただし、この段階では、まだレイアウトは変更されていません。
それでは[代替レイアウト]のマスターページを2段組に設定します。
まず、マスタページ「B-マスター 21W_2D」を選択してください。くりかえしになりますが、ページを選択した状態で[レイアウトグリッド設定]を変更すると、そのページだけに適用される設定になります。かならず[マスターページ]を選択してから設定してください。
つぎにメニューバーの[レイアウト→レイアウトグリッド設定]をクリックして[レイアウトグリッド設定]を表示させます。
●2段組の怪
それでは2段組を作成していきますが、この2段組の[レイアウトグリッド設定]にも、わたしたちには「なぜそうなるのか」わからないことがあります。どうも設定の順番があるようなのです。
普通に考えれば、2段組にするのですから、段数を「2」に変更して、段間のアキを本文のフォントサイズの2字分「13Q×2字=26H(6.5mm)」
に設定すればいいはずなのですが、それではうまくいきません。段間に変なガイドが表示されるのです(右図参照)。
元の段間の設定値が代替レイアウトと違う場合、
たとえば上の例でいうと段間が「6.5mm」ではなく「5mm」に設定されていた場合、その設定値が影響しているようにみえます。
いろいろ試したのですが、どうも段間のアキを先に設定して、それから段数を「2」に設定するときれいにレイアウトできるようです。
下の図が完成した[代替レイアウト]です。
●オプション[リンク/スタイルグループ/リフロー処理]
上記「代替レイアウトの作成」で「オプションは、原則的に、すべてにチェックを入れておきます」と説明しました。この[オプション]について、すこし加筆します。
▶ストーリーをリンク
[オプション]にある[ストーリーをリンク]は、「元のレイアウト」のテキストと「代替レイアウト」のテキストをリンクさせる機能です。リンクしているので、元のレイアウトのテキストを変更すると、リンクマークが下の図のように「リンク更新」の警告に変わります。
警告がでた場合は、[警告マーク]をクリックするか、[選択ツール=黒矢印アイコン]で[option] キーを押しながら[警告マーク]をクリックします。すると[リンクパネル]が表示されるので、下の図ように[すべてのリンクを更新]を選択します。
左の図は、「元のレイアウト」にある青い文字のフォントサイズとフォントカラーを変更したものです。変更すると、下の図のように [代替レイアウト]に[注意マーク]が表示されます。それを[更新]すると、[代替レイアウト]のフォントサイズとフォントカラーも更新されます(下図参照)。
ただし、このリンクマークは、元のレイアウトには表示されません。 つまり、「元のレイアウト」のテキストを変更したときにだけ、
[代替レイアウト]にリンク切れの[警告マーク]が表示されるのです。
「代替レイアウト」のテキストを変更したときには表示されないので注意してください。
▶テキストスタイルを新規スタイルグループにコピー
[テキストスタイルを新規スタイルグループにコピー]にチェックを入れると、基準にしたソースページの[段落スタイル]や[文字スタイル]が、ひとつのグループにまとめられ、それとは別に、ソースページと同じ[段落スタイル]や[文字スタイル]の新しいグループが作成されます。
[段落スタイル]を例にみてみましょう。
下の左の図が[代替レイアウト]を作成するまえの段落スタイルです。右の図は[代替レイアウト]
を作成したあとの段落スタイルです。
[代替レイアウト]を作成すると、[段落スタイル]に「44W」というグループと「21W_2D」というグループができます。 そして「44W」のなかの段落スタイルが「21W_2D」にコピーされています。代替レイアウトの[段落スタイル]を変更するときは、このコピーされた「21W_2D」のスタイルを変更します。
▶スマートテキストのリフロー処理
このオプションにチェックを入れると、代替レイアウトにテキストが収まらなかったとき、ページが自動的に追加されます。
[代替レイアウト]を削除するときは、レイアウト名(「40W」や「21W_2D」)の右横にある三角形をクリックします。メニューがでてくるので[代替レイアウトを削除]を選択します。
これで[代替レイアウト]と、代替レイアウトの[段落スタイルグループ]は削除されます。ただし、元のレイアウトの[段落スタイル]のグループ化は解除されません。