▶ Illustrator : Book Design[スリップ]

スリップ

本に挟んである短冊状の紙「スリップ」は「売上げカード」または「短冊」とも呼ばれています。
スリップには2つの役割があります。二つ折りになっている片面が「売上カード」、もう片面が「補充注文用カード」です。

   ① 売上カード…………売上げを管理するためのもの
   ② 補充注文カード……出版社に本を注文するためのもの

ただ、最近は、POS(デジタル情報管理)による書籍の受発注管理が普及してきたため、スリップの必要性が低下してきました。それにともないスリップを廃止する出版社が増えてきたといわれています。
ちなみにスリップは、滑るや女性の下着という意味ではなく、「伝票 slip」という意味です。
サイズは、幅が「45mm」で、全長が「250mm」程度、二つ折りにした状態の長さが「130〜140mm」が一般的です。

表紙

「売上カード」と「補充注文用カード」のうち、「売上カード」のほうは、デザインやISBNコードの有無などが自由です。「補充注文用カード」のほうにだけ、バーコードをリーダーで読み込むため、バーコードまわりのアキに規定があります。バーコードの左右に5mm以上の、天地に10mm以上のアキが必要です。
詳しくは「日本図書コード管理センター」の「ISBNコード/日本図書コード/書籍JANコード利用の手引」を参照してください。

通常、出版社は、決まったデザインのスリップを使用しますが、新しくスリップをデザインする場合は、雛形を作っておくと便利です。たとえば、上の図のようなスリップを作成する場合、雛形を作成しておけば、著者名・書名・副題・ISBNコード・本体価格などを修正して、バーコードを入れ替えれば完成です。
BOOKHOUSEでは、左側に、右側スリップ上部の「売上カード」のダミーを作っています。右側の「売上カード」は文字が逆さまになっていて見ずらいので、左側の「売上カード」の文字とバーコードを修正して、それをIllistratorの「オブジェクト→変形→回転」機能で180°回転コピーし、右側の「売上カード」の位置に移動させます。移動するときは、Illistratorの「変形パネル」で天と中央の位置(数値)を入力すれば簡単です。

スリップ ただし、上の図のように「売上カード」の最後の行にISBNのような欧文が入っている場合は、注意が必要です。
欧文を選択すると、欧文のベースラインより下に突きでているデセンダーエリアも選択されてしまいます。デセンダーエリアは「y」などのように下に突きでている文字のためのエリアです。ISBNなどの大文字は、デセンダーエリアが空白になります。右の図でも、文字部分の見た目はスリップの左右中央にみえますが、エリアを選択すると、デセンダーラインまで選択されるため、左右中央よりも少しだけ左側に突きでています。
そのため、売上カードの「ガイ(アタリ」の左右を大きくして、全体を選択したとき、数値的にスリップの左右中央になるようにしています。
言葉で説明するとむずかしく感じるかもしれません。いずれにしても、左側の売上カードの全体を選択して回転コピーし、それを右上の逆向きの売上カードの位置に移動させたとき、正確にスリップの左右中央になるようにしているのです。
参考までに、上の図の回転コピーは、次のように行ないます。

 ① Illistratorの「表示→ガイド→ロックをロック」のチェックをはずす。
 ② 半円形の凹みのある「仕上がり線ガイド」を「オブジェクト→ロック→選択」でロックする。
 ③ 左側の「売上カード」のデータ全体を選択して回転コピー。
 ⑤ 右上の「売上カード」のデータの天と中央の位置(数値)をメモしてからデータを消去。
 ⑥ 回転コピーした「売上カード」を全部を選択して、Illistratorの「変形パネル」で、⑤でメモした天と中央の数値を入力。これで完成です。

仕上がり線のガイドをロックしておけば、左側の「売上カード」のデータ全体をドラッグして選択しても、ロックしたガイドは選択されません。

BOOKHOUSEでは、スリップ用紙に「四六判タテ目45kg」または「B判タテ目43.5kg」を使用しています。とても薄い紙です。取数は「64」です。

スリップは、小出版社の場合、初版3,000部から10,000部程度、重版でも通常は1,000部から5,000部程度と、1回の印刷に使用する用紙の枚数があまり多くありません。10,000部分刷っても160枚程度しか使用しません。ですので、普通は、まとめて紙屋さんに注文し、印刷所に取り置いておいてもらっています。印刷所は、それを全判で刷るのではなく、何裁かにして印刷します。
断裁や加工まで印刷所にまとめてお願いしている場合は、取り置きなどする必要はありませんが。

BOOKHOUSE
Copyright © 2015 BOOKHOUSE