「用紙のサイズと取数→本文用紙の取数」で「四六判」の書籍は「四六全判」の用紙に表裏両面で「64ページ(片面32ページ)」が印刷できると説明しました。この1枚の紙に数ページを割り付けることを「面付」といいます。
上の図で示したように、1ページの印刷可能スペースは、計算上「136×197mm」になります。しかし、実際の本文の仕上がり寸法は「133×180mm」ですので、上下に「9mm」の、左右に「6mm」の余分なスペースがあります。でも、この余分なスペースは、必要なスペースです。印刷するときに「ドブ」や「クワエ」のスペースが必要だからです。
下の図をみてください。薄いグレーで示した「ドブ」は、外トンボと内トンボのあいだ「裁ち落とし領域」です。書籍は内トンボにそって断裁されます。
朱色で示した「クワエ」は、印刷時に用紙をグリッパー(クワエ爪)でくえわえて印刷機のなかに送りこむために必要な余白で、ここには印刷できません。四辺のどこか一辺に10mmから12mm程度の「クワエ代(くわえしろ)」が必要です。
このページの最初に示した図「用紙:四六全判ヨコ目」では、わかりやすいように用紙を32分割したエリア「136×197mm」の中央に1ページを置きましたが、実際の面付は、エリアの中央に置くのではなく、各ページの外トンボと外トンボをくっつけるように面付します。折るだけで断裁しないところ(上の図の点線の部分)は隙間なく面付します。
【補足】 | 実際の面付はもっと複雑です。たとえば、上の図で外トンボ同士がくっついた中央の薄いグレーの十字の部分は、計算上「3mm+3mm=6mm」になります、でも、実際の面付けでは、紙厚や折数によってドブを6mm以上とる場合もあります。 |
「面付」は、下の図のように、折ったときにページ順になるように並べていきます。この「面付」した紙を一定の規則に従って折ったものを「折丁(おりちょう)」といいます。
折りには、基本的に「4ページ折り」「8ページ折り」「12ページ折り」「16ページ折り」「32ページ折り」があります。書籍の場合は「16ページ折り」が一般的です。
この「何ページ折り」にするかによって、また「右開き=縦書き」か「左開き=横書き」かによって、面付のページ順も、ページの向きも、天の位置も違ってきます。
上記の「折丁」をページがつながるように揃えることを「丁合(ちょうあい)」といいます。
たとえば、240ページの本を16ページ折りにすると、折丁は「15折」できます。その15折をページがつながるように揃える作業が「丁合」です。
「折丁」の背には、書名や折数などを示す「背丁(せちょう)」、および「折」がページ順に正確に並んでいるかどうかを確認するための「背標(せひょう)」が印刷されています。一般の読者は、本を解体しないかぎり、これらを見ることはありません。
「背標」は、折の順番に「黒い長方形」が斜めにならんでいて、落丁や乱丁があるとすぐにわかるようになっています。
この背丁や背標は、印刷所や製本所が必要とするものですから、出版社やデザイナーが指定する必要はありません。
【補足】 |
まったく余分な情報ですが、わたしたちは、若い頃、印刷オペレーターが「CMYK」の色をあわせるとき、トンボを基準にするのだろうと思っていました。でも、まったく違いました。色校正で印刷工場に行ったとき、カラーものの刷りだしをみたら「CMYK」のトンボがズレているのです。オペレーターは「ドット」を見ているのです。彼らの眼はすごいものです。 トンボに関しては、製本でも驚いたことがあります。あるデザイナーが書名の上部を数ミリ裁ち落とすデザイをしたのです。が、なんと製本所は、書名を裁ち落とさないで、きちんと読めるように断裁してきたのです。 いったいトンボってどういう役に立っているのでしょう? |