環境設定[単位と増減値]で使われている代表的な単位を簡単に説明します。アステリスク「*」マークがついている単位がDTPではよく使用されます。
●定規・原点の設定
▶開始位置
定規の開始位置(原点)を[スプレッド][ページ][ノド元]の3つのなかから選択できます。
① スプレッド | 見開き両ページの左上を基点に、両ページにまたがって定規を表示します。 |
② ページ | 見開きで作成したドキュメントの場合、片ページの左上を基点にページごとに定規を表示します。 |
③ ノド元 | 見開き両ページのノドを中心に、左右にわかれて定規を表示します。 |
定規原点の選択は、環境設定だけでなく、ドキュメントを開いた状態で
[control]キーを押しながら水平定規をクリックすることで、右の図のようなメニューを表示させることができます。
赤枠内から原点を選択します。環境設定の名称と多少設定名が異なりますが、機能は同じです。
また、定規の原点は、右の図の赤丸内をドラックすることで、任意の位置に変更することもできます。
変更した定規の原点は、赤丸内をダブルクリックすることで、元に戻ります。
▶水平方向
水平方向の定規の単位を[ポイント][パイカ][インチ][デシマルインチ][ミリメートル][センチメートル][シセロ][アゲート][ピクセル][歯][アメリカ式ポイント][U][Bal][Mils][カスタム]のなかから選びます。
▶垂直方向
垂直方向の定規の単位を[ポイント][パイカ][インチ][デシマルインチ][ミリメートル][センチメートル][シセロ][アゲート][ピクセル][歯][アメリカ式ポイント][U][Bal][Mils][カスタム]のなかから選びます。
●他の単位
▶組版
フォントサイズ以外の単位として[ポイント][歯][アメリカ式ポイント][U][Bal] [Mils]のなかから選びます。
▶テキストサイズ
フォントサイズの単位として[ポイント][歯][アメリカ式ポイント][U][Bal][Mils] のなかから選びます。
▶線
線の幅(太さ)に使用する単位として[ポイント][ミリメートル]のいずれかを選びます。
●ポイント/パイカの大きさ
▶ポイント/インチ
ポイント換算で使用する1インチあたりのポイントを指定するオプションです。[PostScript (72ポイント/インチ)][旧字体(72.27ポイント/インチ)][72.23][72.3]のなかから選びます。
一般にはデフォルトのまま[PostScript(72ポイント/インチ)]を選択します。
●キーボード増減値
▶カーソルキー【変更】
矢印キーを押したときにオブジェクトが移動する距離を設定します。デフォルトの値「0.25mm」 は「1歯」の長さです。BOOKHOUSEでは「0.1mm」に変更しています。
▶サイズ/行送り
ショートカットでフォントサイズまたは行送りを調整するときの増減値を設定します。
フォントサイズを大きくする場合は、 調整する文字を選んで【shift+command ⌘+>】を、小さくする場合は【shift+command ⌘+<】を押します。 行送りを狭くする場合は、調整する文字を選んで【option+上矢印】を、広げる場合は【option+下矢印】を押します
▶ベースラインシフト
ショートカットでベースラインを調整(シフト)するときの移動値を設定します。 横組みで和欧混植の場合など、和文と欧文の字面をそろえるために、欧文のベースラインを和文よりも上にあげることがあります。これを「ベースラインシフト」といいます。縦組みでベースラインシフトを適用した場合は、適用した文字が左右に移動します。ベースラインを調整するショートカットは、調整する文字を選んで【sift+option+上下矢印】を押します。
▶カーニング/字送り【変更】
まず用語の意味から説明します。
「カーニング」は、仮想ボディと字面のアキを調整する機能です。
「字送り」は、1文字以上のテキストに対して、縦組みの場合は文字の後ろ、横組みの場合は文字の右側のアキ量を設定する機能です。「字送り」は「トラッキング」ともいいます。
この[カーニング/字送り]という項目で、ショートカットで「カーニング」や「トラッキング」をするときの増減値を設定します。
「カーニング」のショートカットは、文字と文字のあいだにカーソルをいれて【option+左右矢印】
を押します。「トラッキング」のショートカットは、字送りを調整する文字を選んで【option+左右の矢印】を押します。
BOOKHOUSEでは「10/1000em」に変更しています。「em」という単位は、文字の大きさ(欧文の場合は「M」の横幅)を「1em」とする単位で、 フォントサイズによって長さが変化する相対的な単位です。 たとえば、フォントサイズが10Qの場合は「1em=10Q=2.5mm」になり、32Qの場合は「1em=32Q=8mm」になります。
文字詰めに関して詳しくは「InDesignの文字詰めの種類」を参照してください。
InDesignには、「ベースライングリッド」や「ドキュメントグリッド」、および下記の「09 文字枠グリッド」で説明する「レイアウトグリッド」の3種類のグリッドがあります。
① ベースライングリッド………おもに欧文ベースラインに段落を揃えるためのグリッド。
② ドキュメントグリッド………オブジェクトを揃えるためのグリッド。
③ レイアウトグリッド…………文字枠にテキストや段組を揃えるためのグリッド。
環境設定「07 グリッド」で設定するのは、上記のうちの「ベースライングリッド」と「ドキュメントグリッド」です。これらは通常「レイアウトグリッド」を表示しない場合に使用します。
下の図をみてください。「ベースライングリッド」は、スプレッド全体(ページ全体)をカバーし、
縦組みのときは縦のグリッドが、横組みのときは横のグリッドが表示されます。下の図は横組みのときのものです。「ドキュメントグリッド」は、ペーストボードも含めたドキュメント全体をカバーします。
なお、InDesignには「フレームグリッド」というグリッドもありますが、これはテキストに書式などの属性を適用するグリッドですので、「ベースライングリッド」や「ドキュメントグリッド」および「レイアウトグリッド」とは性質が異なります。フレームグリッドについては「環境設定 : 09 文字枠グリッド」や「テキストフレームの種類」を参照してください。
ただし、BOOKHOUSEでは、「レイアウトグリッド」以外の「ベースライングリッド」や「ドキュメントグリッド」は、ほとんど使いません。これらのグリッドを使う機会がないのです。ですので、下記の設定も、すべてデフォルトのままです。
●ベースライングリッド
▶カラー
ベースライングリッドのラインの色を設定します。ポップアップメニューの[カスタム]を選択して好きな色に設定することもできます。
▶開始
グリッドのラインを開始させる最初の位置を指定します。
▶相対
グリッドの表示位置を[ページの先頭][天マージン]から選びます。[ページの先頭]に設定する と上の図のようにグリッドがページ全体に、[天マージン]に設定するとマージンで定めた範囲にグリッドが表示されます。
▶グリッドの間隔
グリッドの間隔を設定します。
▶ズーム度限界
グリッドが表示される最小の表示倍率を指定します。表示倍率が[ズーム度限界]よりも小さくなると、テキストなどが見づらくなるのを防ぐため、グリッドが消えます。
●ドキュメントグリッド
▶カラー
ドキュメントグリッドの色を設定します。ポップアップメニューの[カスタム]を選択して好きな色に設定することもできます。
▶横組み・グリッドの間隔
水平方向のグリッド間隔を設定します。
▶横組み・分割線
水平方向のグリッドの分割線(薄い色の線)の数を指定します。
▶縦組み・グリッドの間隔
垂直方向のグリッド間隔を設定します。
▶縦組み・分割線
垂直方向のグリッド分割線(薄い色の線)の数を指定します。
▶背面にグリッドを表示
[ベースライングリッド]と[ドキュメントグリッド]を、ほかのすべてのオブジェクトの前面に表示する場合は、[背面にグリッドを表示]のチェックを解除します。
●カラー
▶マージン・段数・裁ち落とし・印刷可能領域・背景をプレビュー・スマートガイド
それぞれのガイドの色および背景(ペーストボード)領域の色を設定します。ポップアップメニューの[カスタム]を選択して好きな色に設定することもできます。
[マージン]と[段数]のガイドは、縦組と横組では異なります。
縦組の場合……上下に段が組まれるので、[マージン]は両端の縦罫、[段数]は上下の横罫です。
横組の場合……左右に段が組まれるので、[マージン]は上下の横罫、[段数]は左右の縦罫です。
InDesignは、メニューバーの[表示→スクリーンモード]、またはツールパネルの一番下にある[表示モード切り換えツール]
で、表示形式を[標準モード][プレビューモード][裁ち落としモード]
[印刷可能領域モード]に切り替えることができます
(右図および下図参照)。
環境設定の[背景をプレビュー]という項目は、スクリーンモードを[標準モード」
以外にしたときの「ペーストボード」の地の色を設定する機能です。[標準モード」
以外のモードで表示すると、印刷されない領域が「背景カラー」で覆われ、実際にデータを出力したときの状態を確認することができます。下の図の「背景カラー」はデフォルトのままの「ライトグレー」です。
●ガイド
▶スナップの範囲
ガイドにスナップする範囲をピクセル単位で設定します。デフォルトは「4」で、4ピクセル内にマウスポインタがくるとガイドにスナップします。
▶背面にガイド表示
背景にガイド等を表示したい場合には[背面にガイド表示]にチェックを入れます。
●スマートガイドオプション
スマートガイドは、オブジェクトを移動するときに、一時的にガイドを表示する機能です。 オブジェクトを別のオブジェクトのエッジにそろえるガイドや、中央にそろえるガイドが表示されます。ただし、メニューバー[表示→グリッドとガイド]の[グリッドにスナップ]と[レイアウトグリッドにスナップ]にチェックが入っているとガイドは表示されません。
▶オブジェクトの中心に揃える・オブジェクトのエッジに揃える
[オブジェクトの中心に揃える]や[オブジェクトのエッジに揃える]にチェックが入っていると、 たとえば[オブジェクトのエッジに揃える]の場合、下の左側の図のように「object B」を「object A」に近づけると、 右側の図のようにガイドが表示され、そのガイドに「object B」がスナップされます。[オブジェクトの中心に揃える]の場合も、ガイドが中心に表示され、そのガイドにオブジェクトがスナップされます。
▶スマートサイズ・スマートスペーシング
[スマートサイズ]は、下の図の左側のように「object A」と「object B」のサイズが一致したときにガイドが表示され、「object A」と同じ幅や高さにスナップさせる機能です。
[スマートスペーシング]は、下の図の右側のように「object C」を移動させたとき、「object B」
と「object C」のアキが「object A」と「object B」のアキと同じになったら表示される一時的なガイドです。
●ペースト
▶水平マージン・垂直マージン
トンボの外側にある白い部分(ペーストボード)を、ページまたはスプレッド(設定されていれば「裁ち落とし」または「印刷可能領域」)からどれぐらいまで大きくするかを指定します。デフォルトは、 水平マージン(左右)が210mm、垂直マージン(天地)が25.4mmです。 下の右側の図は垂直マージンを50mmにした例です。
●グリッド設定
▶グリッドのシェイブ
レイアウトグリッドやフレームグリッドの文字枠を、[四角]にするか、
[丸]にするかを選択します。
右の図の左側「四角グリッド」は下記の文字枠設定で[仮想ボディ]に
設定、右側の「丸グリッド」は[平均字面]に設定しています。
▶文字枠
レイアウトグリッドやフレームグリッドの文字枠を[仮想ボディ]に基づくサイズで表示するのか、
[平均字面]に基づくサイズで表示するのかを選択します。
*仮想ボディ
[仮想ボディ]に基づくグリッドは、文字枠のあいだにスペースがありません。
*平均字面
[平均字面]に基づくグリッドは、使用しているフォントの平均的な字面の大きさを基にした文字枠で、文字枠のあいだにわずかなスペースがあります。
フォントによってグリッド(平均字面)の大きさは変化します。
▶塗りつぶし
文字数を数えやすいように何個目のグリッドを塗りつぶすかを指定します。開始位置([行頭から]または[フレーム角から])を指定して、何文字目ごとに塗りつぶすかを指定します。「5」と指定すると5文字ごとに塗りつぶされます。
▶ズーム度限界
画面の表示倍率が小さいときにグリッドが密集して見づらくなるのを防ぐため、グリッドが表示される表示倍率の下限の値を入力します。
●レイアウトグリッド設定
▶カラー【変更】
レイアウトグリッドのカラーを指定します。ポップアップメニューの[カスタム]を選択して好きな色に設定することもできます。
右の図は[カラー→カスタム]のダイアログを表示したところで、「グレースケール」の右にある小さな三角形ををクリックすると、RGBやCMYK
などのカラーモードが選べます。デフォルトのカラーは濃すぎるので、できるだけ薄い色に変更したほうが作業がしやすくなります。
BOOKHOUSEでは[グレースケール]で「90%」
程度に設定しています。ただし、どういうわけか
[表示→グリッドとガイド]でレイアウトグリッドを隠し、ふたたびレイアウトグリッドを表示させると、レイアウトグリッドのカラーが「黒」になってしまいます。これはとても困った現象です。
カラーが「黒」になると文字がみえにくくなるのです。
ですので、デフォルトの[カラー]のなかから、できるだけ薄い色を選択してレイアウトグリッドに設定しておいたほうがいいのかもしれません。デフォルトのカラーを選択した場合は、レイアウトグリッドの表示を隠して、ふたたび表示させても色が変わりません。
【注意】 | フレームグリッドは、レイアウトグリッドのように[環境設定]で色を変えることができません。くわしくは「表示の設定→フレームグリッド・カラー」を参照してください。 |
●言語
ポップアップメニューから設定する言語を選択します。日本語で組む場合は、当然ですが「日本語」 を選択します。
▶ハイフネーション辞書・スペル辞書
言語が[日本語]の場合、ハイフネーション辞書やスペル辞書は用意されていないので、[言語なし] と表示されます。[英語:米国]などの欧米言語の場合は、ポップアップメニューから[Hunspell] [Proximity][ユーザー辞書のみ]が選択できます。
▶二重引用符・引用符【変更】
欧文の二重引用符や引用符は、環境設定の[08 テキスト→文字オプション→英文引用符の使用]で説明したように、「プライムマーク・
まぬけ引用符(半角引用符)」は使いません。
ですが、[言語]が[日本語]の場合、二重引用符や引用符は、デフォルトで「プライムマーク」が設定されます。ですので、上の図のようにポップアップメニューの一番上にある二重引用符や引用符(赤枠内の記号)に変えておきます。
環境設定[08 テキスト→文字オプション→英文引用符の使用]にチェックが入っているかどうかも確認してください。
ちなみに、以下のキーで、ダイレクトに英文引用符を入力することができます。ただし、欧文の英文引用符を入力する場合は、フォントを欧文に設定しておかなければなりません。
JIS配列キーボード | ||||
“ = option+@ | ”= option+shift+@ | ‘ = option+[ |
’= option+shift+[ |
|
US配列キーボード |
||||
“ = option+[ | ”= option+shift+[ | ‘ = option+] | ’= option+shift+] |
【補足】 | 上記の「二重引用符・引用符」についてのテキストは「I love Typesetting」および「Inforati」を参考にさせていただきました。 |
▶Hunspellの情報
Hunspellは、スペルチェックとハイフネーションの検証を行うために設計されたオープンソースの辞書です。InDesignのヘルプには以下のように説明されています。
ほとんどの言語に対応できるよう、InDesign にはオープンソースの HunSpell 辞書が同梱されおり、HunSpell がデフォルトの辞書プロバイダーです。他言語に対応する追加のスペルおよびハイフネーション辞書は、 OpenOffice Web サイト(英語)からダウンロードできます。
他言語に対応する追加のスペルおよびハイフネーション辞書を使用する場合は「HunSpell の情報」 をクリックします。
●ハイフネーションの例外単語を参照
▶次の辞書を使用
ハイフネーションの例外単語を参照する辞書を[ユーザ辞書][ドキュメント][ユーザ辞書とドキュメント]のなかから設定します。外部のユーザー辞書に保存されているハイフネーションの例外単語リストを使用する場合は[ユーザー辞書]を選択します。ドキュメントに保存されているハイフネーションの例外単語リストを使用する場合は[ドキュメント]を選択します。両方のリストを使用する場合は[ユーザー辞書とドキュメント]を選択します。
●ユーザー辞書
▶ドキュメントにユーザー辞書を自動埋め込み
このオプションにチェックを入れると、ハイフネーションおよびスペルチェックの例外単語リストがドキュメント内に保存されます。ドキュメント内に保存すると、ドキュメントを他のコンピューターに移動した場合、テキスト処理の統一が容易になります。
▶ユーザー辞書編集後、すべてのストーリーに自動適用
ユーザ辞書の設定を変更したとき、すべてのストーリーを再構成するには、このオプションにチェックを入れます。